出張一気読み(24)ソフトウェア・ウェットウェア・フリーウェア
ルーディ・ラッカー著、「ソフトウェア」「ウェットウェア」「フリーウェア」のウェアシリーズ3部作(最新Realwareは未翻訳)。ラッカーの名前を初めて知ったのはこの「ソフトウェア」からだが、人の知性(?)がソフトウェアとして再現(実行)可能というアイデアをここまで数学的かつ現実的かつ即物的に表現したのを見たのは私はこれが初めて。これまで知性をコンピューターへ移行する行為にはどうしても超常的または非日常的で大仰な雰囲気が付きまとっていたが、本作品群では、PCでファイルをポンとコピーする具合にあっけなく行われる。「ソフトウェア」では結構な情報工学・生化学的蘊蓄を込めて「コッブ」を「脳みそ」から「ソフトウェア化」していくが、大本は「知性ってPC上で走るプログラムと変わんないよね。」っていうことをあたりまえとして描いた、私にとっては初めての作品。目から鱗というか、そうだよねうんうん、と妙に納得した学生時代を思い出した。「ウェットウェア」では「マンチャイル」の殉教?にマッドな自分を感じたし、今回フリーウェアは初めて読んだが、「ウイリィ」の開発した「リンプウェア」使ってDIM作りたい!、ってプログラマとしての業を呼び起こされるという、いちおうエンジニアである自分にとっては感慨深いシリーズであります。理科系なら読んで損はなし。本シリーズの新作Realwareはまだ未翻訳で、いつか読める日がくるかなぁ。